2018年03月13日
傍観者
先日名古屋のオアシス21で行われた「障害者ワークフェア」という催し物に出展をしてきました。
ALSの支援団体が主催した盲ろう障がい体験コーナーで、視線による文字入力を体験しました。
PCのモニタ上に大きく「あ・か・さ・た・な…」と書いてあって、モニター前に座った人が視線を一点に集中することでその場所に輪っかが現れてそのまま見つめていると輪っかが2~3秒かけて完成して「あ行」が選択されます。
あ行が選択されるとモニタが切り替わり「あ・い・う・え・お」の文字が現れて、それをまた見つめて輪っかを完成させると「あ」1文字の入力が完了します。
視線入力自体はテレビとかで見たことはあって、(こりゃー大変だなぁ)と思ってはいたものの、実際にやってみると「大変」なんて一言で片づけるなんて恐れ多いほどの「修行」のような作業だった。
それでも他に伝える術がない。(文字盤とかもあるのだけれど、人にずっと付いていてもらわなくてはならないし、それでもどうしようもなく時間がかかる)
1分ほどかかって「こんにちは」とだけ打った後、体験を終えた。
どんな障がいでもそうなのだけれど、その当事者でなければ想像もできないほどの苦労や不便さや、時に悲しみや絶望だってある。
支援者と名乗っても、仕事上での接点であり、人生が賭かっていない以上傍観者であり、本当の意味で理解などできないのかもしれない。
けれど理解しようとする姿勢だけはなくさないようにしようと思う。
全身が動かずに、挨拶を伝えるだけで1分もかかってしまう暮らしなんて、想像を絶するのだけれど、
想像しようとすることをやめてはいけないのだと思う。
就労支援って、プールにくっついてる中途半端な梯子みたいなもので、深淵に沈む人を潜って地上にあげることはできない。
それでも今自分にやれるのはこれだな、と思う。
短い梯子でも便利だよ。
ひとりごちて会場を後にした。