2017年02月03日
趣味
趣味を答えるというのは時に非常な危険を伴うことだ。
趣味、早い話が自分が自由に出来る時間の何分かを割いて打ち込む好きなこと、情熱をかけていること・・・・
これは好きな食べ物とか聞かれるのとはワケが違う。
「好きな食べ物は?」
「フルーツパフェです」
といかつい男児が正直に答えたとしてもせいぜいが(わぁ似合わない)と思われる程度。時には(男なのに甘いものが好きだなんて、カワイイ)とか思われる可能性すらある?のだがこれが趣味だとしたらそうはいかない。
「趣味はなんですか?」
「エロDVD鑑賞です」
などと答えたらそれ一発で人格全てを否定されかねない。
趣味を尋ねられる。
それは尋ねられたその瞬間から必ずしも本当のことを言ってはならなくなるサイレン鳴り響く、特A級の緊急事態なのだ。
だからこそ人は往々にして
「趣味は読書です」といった無難な答えを用意していたり
見合いの席で
「ご趣味は?」
「お茶と日本舞踊を少々」
などという水面下での攻防を繰り広げたりするのだ。
先日フラリと立ち寄った店でシルバーアクセなど見ていたら、茶髪にタトゥーをびしばし入れた店員の兄ちゃんが尋ねてきた。
「お兄さん何か趣味は?」
いきなりである。
正直心の準備が出来ていなかった。ストリートは戦場だということを忘れていた。
「や、正直趣味とかないし・・・」
となかったことにしようとするが
「いやぁそんなことないでしょう。何かやってることとかあるんじゃないですか?」
などとしつこい。
言うまでもなく自分をカモに見立てての問いかけだ。こちらが買う気などサラサラないのに対して向こうは売る気マンマン。少しでも切り崩してやろうとしての質問なのだろう。それはわかる。
だが前述の通り趣味を尋ねられるということは非常な危険を伴う。いわばナイフを喉元に突きつけながら交渉に臨むような無礼な行為だ。
そんな奴に正直に答える必要があろうか?いや、ない。
そんな思考回路の果てに導かれた答えがコレだった。
「サーフィンを少しやってる」
えぇ。
自慢にもなりませんが、一昨年に15年ぶりくらいに海で泳ぎました。浮き輪で。
生まれ出でて44年、サーフボードというものに触れたことすらありません。
「あー!だと思ったーー!」
アホか。
本気で私がサーフィンやってるように思っていたのならお前の目は節穴だ。
色黒なのは焼けたからではない。地黒だ。
しかしサーフィンと答えたのは失敗だったかもしれない。
目の前ではいかにサーフスタイルにその店のアクセサリーがよく合うかを語る茶パロンゲ。「趣味は盆栽です」とでも言えばよかった。そうすれば盆栽スタイルに合ったアクセサリーが出てきたのだろうか?それなら少し興味がある。
そんなことを思いつつ適当にお茶を濁して店を後にした。
まぁほんとはネットサーフィンが趣味なんですけどね。
と、今更ベタなオチがついて我ながら驚いた。