2018年02月13日

酸欠

酸欠


先日の福井県の大雪で立ち往生した車の中で50代の男性が一酸化炭素中毒とみられる症状で亡くなりました。


一酸化炭素中毒

これって実は酸欠の一種なんですね。

一酸化炭素って、火が燃えているところにはほぼ必ず発生しているもので、濃度1%でも3分で死亡してしまうほどの強い毒性があります。
当然車のエンジンも中でガソリンが燃えているわけなので、微量とはいえ一酸化炭素が発生しています。

雪で覆われて一酸化炭素が車外に逃げずに中毒を起こしてしまったケースで、大雪が降る地方では起こり得る事故です。


一酸化炭素は血中で酸素を体中に運んでいるヘモグロビンに、酸素の200倍も結びつきやすいんですね。
なので、薄い濃度でも優先的に一酸化炭素と結びついた結果、ヘモグロビンが酸素を運ぶことができずに酸素があるのに酸欠!ということになるわけです。


さて酸欠。

あまり知られていませんが、酸欠には知っておくべき3つのポイントがあります。

① 一瞬で昏倒
息を止められる時間と同じくらいは酸素を吸わなくても耐えられそうな気がしてしまいますが、違います。空気中の酸素濃度は21%、血中の酸素濃度は18%なのですが、たとえばここで酸素5%の空気を吸ったら…
「5%しか酸素を取れなかった」ではなく、18%-5%で「血中から13%の酸素が出ていく」のです。
結果、一瞬で昏倒します。

② 息苦しくならない
酸素が足りなければ息苦しくなりそうな気がしますが、実は酸欠の症状って「頭痛」「吐き気」「めまい」など風邪の初期症状に似ていて「息苦しさ」はないのです。
「息苦しさ」は「酸素が足りないから」ではなく、「二酸化炭素が多いから」
現れる症状であって、二酸化炭素が多くない状態(窒素が多いなど)で起きる酸欠では「息苦しくならない」のです。一酸化炭素中毒も「二酸化炭素が多い状態」ではないことが多く、息苦しくない中で酸欠になってしまうんですね。

③ 筋力低下
人が体を動かすために、筋肉でアデノシン三リン酸(ATP)という物質が使われています。そしてこのATPが作られるのに必要な酸素濃度が16%です。作られないので蓄えられているATPが使われるわけなのですが、このATP、もとから筋肉に蓄えられている分では5分程度しかもちません。
言い換えると16%以下の酸素濃度下にいると、力が入らなくなります

マンホールの中で作業中頭が痛くなり、外に出ようとしたら梯子を登れない。中で倒れている人を見て助けに行った人も昏倒して2人死亡…

そんな事故が過去に何件も起きています。



労災事故の中でも40%越えという圧倒的な死亡率の酸欠事故。

重篤な障がいを残すケースも多いです。


特に初期症状の「めまい、頭痛、吐き気」などに注目し、「ひょっとしたら酸欠かも?」と思えることが大切です。





Posted by こもれび屋  at 08:27 │Comments(0)

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