2018年03月29日
(再掲)悲しき喝采
人と接することがある以上、どんな仕事においても心にないことを言わなくてはならない瞬間というものはあるかと思う。
特にSST
Social Skills Training の略で、「社会生活技能訓練」や「生活技能訓練」などと呼ばれるもの。
主に対人関係を中心とする社会生活技能、文字通り社会で生活するための技術を身につけるということが目的のトレーニングなんだ。
で、段階にもよるのだけれどその大きな目的のひとつとして「人に受け入れられる事に慣れていく」ってことがあるのね。
それがさ
例えば 椅子にきちんと座れた とか ちゃんと重さを測れた とか程度のことができただけで・・・・いや、むしろちゃんとできていなかったとしても
「わぁーーー!!凄い凄い。よくできましたぁ(ぱちぱちぱちぱち)」
てな感じで誉め讃えたりするわけなんだ。
すごい! だなんて思えんよ。
「赤ちゃんが初めて立つ事が出来た」
とかじゃなくって、いい歳した大人に対してそんなこと誉め讃えるのって、逆に失礼なんじゃないかとな。
そりゃ思うよ。
けれど、同時に
そうされることが必要な程に、他人に、社会に、受け入れられずにこれまで生きてきた
一見茶番に見える喝采を、受容を、それでも求めているほどに怯えきって生きてきた人がいることも事実で
心無き喝采。それは覚悟なき優しさにも似て、どことなく卑怯なものの気がしてしまうけれど、そんな目を閉じた時にしか見えないような小さな灯りを必要としている人の前で、黙ってしまう事は、正直だとしても、間違っている。
だから、建前でも追従でもなく、立場だけでもなく
こころから、喝采をあげようと思う。
こころにもない、喝采を。
Posted by こもれび屋
at 08:23
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