2020年01月24日

誰がために曲は鳴る

クソみたいな音楽ばっかりだ


巷にあぶれる耳あたりの良い曲を総じてそんなことを言う人がいた。


(まぁ確かにクソみたいだよなー)


自分もそう思っていた。

そんな考え方が変わったのは、以前尊敬する上司がカーラジオから流れるモーニング娘。の曲を聞いて言った一言だった。


「ラブマシーン。好きなんだよね。この曲。なんか元気が出ていいよね。」


勝手なイメージで、かっこいい上司はかっこいい曲が好きなものだと思っていた。
勝手なイメージで、モーニング娘。はドルオタ向けの曲だと思っていた。


音楽は、現実と哲学の間にあいた昏い穴の中で蠢いている人間のためにだけあるわけじゃない
凄惨で陰鬱なものに囲まれている日々の中で、同じ匂いを嗅ぎたい人間のためだけにあるわけじゃない。


言ってしまえばロックンロールだけが音楽じゃないのだ。


幸せな人にも、国語の苦手な人にも、考えることをやめた人にだって、音楽は必要とされていて
誰かがけなした「クソみたいな音楽」に救われる瞬間もあるのだ。

考えることをやめていたって、感じることまでやめられるわけではないのだ。


クソみたいだった音楽を受け入れるのは、世の中には色々な人がいるのだということを受け入れていく過程に似ていて、
それはロックではないのかもしれないけれど、どれだけありふれていたり、あたりまえだったりしても、
それを軽んじていいわけではないのだと

ちっぽけな自分に合わなかったっていうだけで、人ひとりが癒されるもの

それが無価値になってしまうなんてことは、決してないのだと。

そう知って、前よりもありふれた曲が好きになった。

前よりもいろんな人を受け入れられるようになった。


  


Posted by こもれび屋  at 19:20Comments(0)