2018年03月23日

意思決定支援



障がい福祉になじみのない方はご存じないかと思うのですが、「相談支援員」という職種があります。


例えば介護サービスを受ける時、どんなことをどのように使えば今の困りごとを解消できるか?そもそもどんなサービスがあるのかがわからない方は多いわけです。

そこでどんな組み合わせでサービスを受ければいいのか、どの程度費用がかかるのか、などをケアマネージャーというプロが教えてくれて、ケアプランと呼ばれる計画も組んでくれます。


相談支援員というのはこのケアマネージャーの障がい分野版なんですね。


障がいを持った方がどういった福祉サービスを組み合わせて使用してそれによってどのような生活を目指していくのか



それを本人と一緒に考えて「相談支援計画(サービス等利用計画)」と呼ばれる計画を立てていきます。


ケアプランがないと介護保険サービスが利用できないように、相談支援計画がないと基本障害福祉サービスは利用できない仕組みになっています。(一応セルフプランと呼ばれる計画を自分で立てることも可能です)



さて、先日そんな相談支援員の研修、具体的には「意思決定支援」について学ぶ研修に行かせていただきました。


「意思決定支援」というのは重度の知的障がいの方など、自分の意思を他の人に伝えることが困難な方に対してどのような方法で本人の意思を推し量り支援をしていくのか、ということです。


ポイントは

① 意思能力
自分の好き嫌い(意思)を示すことができるか

② 行為能力
ひとりでその行為の結果を判断して行うことができるかどうか

と、問題を分けて考えることです。



「意思」は全ての人にある。
けれど「暴れる」「叫ぶ」といった形でしかその意思を表現するすべを知らなかったり、自分の殻に閉じこもったり人の顔色をうかがいすぎてその意思を示すことができない状態ではないか。

そしてそういった意思能力と別に「欲しいから」と全財産で羽毛布団を買ってしまってはいないか、とか、食費を切り詰めてまで異性に貢いでいないか、といった「行為」(判断)に対する支援が必要なケースもありえます。



いずれにせよ(この人は自分で判断できないから)と、支援をする側が決めてしまっていないか?

という視点は常に持ち続ける必要があります。




例えば「施設に入れるというような、本人の意思を顧みもしない言いざまを、支援をする側がしてしまってはいないか?



「施設に入れる」

なんて、支援者が言っていい言葉ではありません。

「こういった施設もあります」

といった提案なら言ってもよい。





意思を表現できなくても意思はある。

そしてその意思に最大限配慮をしつつ本人の利益を考える


それが支援者に求められる姿勢というものだと思います。  


Posted by こもれび屋  at 08:52Comments(0)福祉